管用テーパねじは、JIS規格として定められていますが、実際に使う
設計ポイントがまとまったものがないため、情報を探す手間が掛かりますよね。
そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使う項目に抜粋して、
管用テーパねじ(Rc用)としてまとめました。
設計の参考として活用いただければ幸いです。
1.管用テーパねじ 規格編
管用テーパねじは、気密性を目的にしたい箇所に使用され、工業製品から生活用品まで
幅広く使われているねじ規格です。
そんな管用テーパねじの規格の中で、機械設計でよく使われる内容を以下よりまとめます。
1-1.JIS規格
管用テーパねじは、JIS B0203-1999にて定められています。
その内容は、以下のリンクから確認することができます。
1-2.設計でよく使う項目
前述のJIS規格から、機械設計でよく使うめねじ項目があります。
抜粋すると、次のようになります。
2.管用テーパねじ 加工編
管用テーパねじを加工する場合は、手動で加工したり機械を使って加工します。
それに合わせて使う工具があり、それぞれの特徴があります。
その中で、機械設計でよく使う加工ポイントとして以下にまとめます。
2-1.加工方法
よく使われる管用テーパねじの加工方法は、次の2種類があります。
ストレート加工
ℓgの基準位置まで入れ込んで加工。青矢印が軸方向。赤矢印が工具回転方向。
引用元:株式会社彌満和製作所カタログ:管用テーパねじRcタップ
ヘリカル加工
工具が回転と公転しながらℓ長さで加工。2軸以上の複雑な動きとなるため、
NC制御できる機械が必要。青矢印が公転方向。赤矢印が工具回転方向。
※引用元:株式会社彌満和製作所カタログ:超硬MC-ヘリカルカッタ 管用テーパねじ(Rc・PT)用
2-2.加工考慮した設計ポイント
管用テーパねじRcを取り入れる時の設計ポイントを以下にまとめます。
テーパねじの深さ
・必ず、1-2.設計でよく使う項目に記載のa寸法を厳守する
・止まりの場合は、2-1.加工方法に記載のストレート加工のℓg長さを確保する
・深さを最小限に抑えたい場合は、2-1.加工方法に記載のヘリカル加工を利用する
テーパねじと端面の距離
・端面との距離は、おねじ挿入で壊れない肉厚にする
・端面との肉厚は、谷径(D)で見積もる
3.管用テーパねじ 図示編
管用テーパねじを加工してもらうためには、図面指示する必要があります。
機械設計でよく使う製図事例を以下にまとめます。
3-1.Rcの図面指示
代表的な図示例は次のようになります。
基本的にねじ深さはJISで定めされているため、記載は不要ですが、
どうしても必要最低限の長さにしたいなどは、指示する場合があります。
下穴止まりの場合は、深さを指示します。
3-2.Rcの下穴
下穴径を表示する場合は、以下の下穴径を参考にしましょう。
3-3.テーパ部の角度
テーパ角度は、JISによって定められています。その関係は、下図となっています。
テーパをどうしても作図する必要になった場合は、この関係から、テーパ角度(θ)
を算出して作図します。ちなみに、角度は凡そ1.7899°になります。
最後に
ここまで、実用的に使える管用テーパねじ(Rc用)を設計ガイドとしてまとめました。
本内容から、皆様の設計作業にお役に立てたら光栄です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
以下のリンクより、お気軽にご相談ください。
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