近年、デジタル技術が劇的に進歩している中、機械設計の仕事として使うCADも
進化し続けています。そんな時代の中で、CADを学びたい人や詳しくなりたい人、
CADを使う仕事に転職を考えてる人にとっては、どんな仕事をするのか気になりますよね?
仕事内容がわかれば、これからどういう活動していけばよいか、
明確にすることができるのではないでしょうか?
そこで今回は、現役メカエンジニアがCADを使った仕事内容について詳しく解説していきます!
CADでどんな仕事ができる?
CADは、主に建築や産業機械、家電やスマホなどものづくりに関わる企業で多く使われます。
業種は異なりますが、仕事内容に共通性があります。それは次の3つです。
・3次元にモデリングする仕事
・図面を作図する仕事
・資料作成する仕事
3次元にモデリングする仕事は、想像している形をパソコンで具現化することです。
具現化されれば、相手に伝えることもできますし、どういう問題があるかを可視化できる
ようになります。建築であれば、建物を立体化し、車であれば、車体からエンジンまで
あらゆる部品をモデリングします。CADを使う一番の醍醐味となる仕事ではないでしょうか。
図面を作図する仕事は、実物を作ってもらうために必要な書面を作ることです。
図面があることで、設計意図を伝え、製作できる唯一の書面になるため、どんな業界でも
必要なものです。ものづくりの中で一番設計意図を落とし込める大事な仕事になります。
資料作成する仕事は、製品の図を使ったマニュアルや設計資料の作成がメインです。
設計要素をまとめたり、製品の扱い方をまとめたりしますので、CAD機能を活用する場面があります。
このようなイラストデザインすることはどの企業にも存在します。
このように、業種問わずCADを使う仕事には共通性があることがわかります。
機械設計現場のリアルな声
仕事のイメージが掴めたところでいざ機械設計をCADでやろうとするとき、実際の職場では
どんな人が使っていて、CADとは別の仕事はやるのか、CAD以外のスキルは必要なのかなど、
気になりますよね。
ここで現役メカエンジニアの出番です。著者は機械設計業界で複数社経験してきた中で、
どんな企業でも同じ傾向があることがわかりました。
その経験も踏まえて現場のリアルな声をお届けします
実は派遣エンジニアがCADを1番使う
驚くかもしれませんが、大抵の企業でCADを使う人は、企業社員ではなく派遣エンジニアが1番使います。え〜!?本当に!?と思うかもしれませんがこれは事実です。経験上、20年前からこの事実はあります。
では企業社員は何をしているかというと、製品コンセプトを決めたり、製造工程を準備したり、
企業独自の改善活動をしたりなど、主にマネージメントに勤しむことが多いです。
CADを使う作業は、案外大変だったりします。その時間に取られてマネージメント時間が無くなると、
製品を作ることも出来なくなるため、分業することで解決しています。
CAD能力だけでは設計仕事はできない
CAD操作能力さえあれば、設計の仕事ができるという人が多く見られますが、それは間違いです。
確かに3次元化するためには操作能力だけあれば良いですが、設計の仕事はそれだけではありません。
既存の部品を使いまわして違う製品を作ったり、ゼロからイチに作り出すこともあります。
なので、CADの他に、設計能力が必要になります。
操作だけの作業者はオペレーター、CADと設計ができる人が本来のエンジニアであることを
覚えておきましょう。
CADはあくまで具現化するツールである
CAD作業が分業されているせいか、CAD操作に目が行きがちです。
上長やパートナーに検図してもらうと、図面のこの記号がずれている、向きが違う、
文字の大きさが違うなどの指摘しかしない企業は多いです。
確かにCADで設計する時は大事ですが、本質的に検図しなくてはならないことが出来ていません。
簡単にいうとQCDに基づく検図です。ズレや大きさ、向きなどはCAD操作に対しての検図であり、
設計に対する検図が出来ていません。
CADはあくまでイメージしているものをデジタル3次元に表現するツールです。
それだけは忘れないエンジニアを目指しましょう。
CADを使った仕事の将来性
イメージとリアルな現場を体感したところで、将来性が気になりますよね。
10年以上機械設計に携わってきた経験から、CADを使う仕事には将来性を感じています。
その経験なども踏まえてCADを使った仕事の将来性について解説します。
更なる3Dが主流となる時代
すでに3Dが主流というくらい、ほとんどの企業がCADを使っています。
なので、CAD能力を求める企業が多いことは間違い無いでしょう。
近年ではCADからプリントしたり、アニメーションにまで活用するシーンまで増えています。
3Dが主流となっていますが、未だ未知な領域があります。未知な領域があるからこそ、
更に伸びていく仕事では無いでしょうか。
ものづくりは人が作るもの
最近自動生成AIが盛り上がっていますが、CAD関連でもAIは注目されつつあります。
2次元から自動で3次元化、数字を入れるだけで3次元化など、簡単に自動生成される
アプリケーションが開発されています。
いくら自動で作ったものとは言え、判断するには人間です。
欲しいデザインになっているのか、CADで一部修正するだけで設計できるのかなど、
CAD能力と設計能力があれば、その判断できる人間になれます。
よってCADを使う仕事は今後更に伸びていくでしょう。
役立つCADの資格
CADはスピードや手法などの操作能力が求められます。
その能力を身につけられる資格というのがACSPが主催するCAD利用技術検定です。
この資格があれば、操作能力がある根拠として使えるため、機械設計業界への就職や転職に役立ちます。
CAD利用技術検定は、2次元と3次元の2通りあり、それぞれどのように役立てられるのかをご紹介します。
3次元CAD利用技術検定
3次元CADに特化した試験で、パーツからアセンブリまでのモデリングを学習でき、
作成したモデルから必要な情報を引き出せるかなどが学べます。
また、2次元情報から、3Dモデリングする課題もあるため、3次元化するスキルに網羅した
資格となっています。
すでに、3Dが主流になっている中で、どんな企業でも3次元化のスキルは必須であると言えます。
そのスキルをアピールしたい時に、確実に使える資格になることがわかりますね。
2次元CAD利用技術検定
2次元CADに特化した試験で、図面の製図知識と製図技術を学べます。
3次元が主流とは言え、未だに2次元が主流だったり、3次元化の真っ最中だったりする企業は
たくさんあります。
3次元の原点は2次元であるため、原点能力があるアピール材料として使える資格になります。
まとめ
CADを使った機械設計の仕事内容を、現役メカエンジニアが解説しました。
CADは様々な業界で使われ、将来性もあることがわかりましたね。
これまで解説したい内容をまとめると以下となります。
- CADを使う仕事には、モデリング、作図、資料作りがある
- 派遣エンジニアがCADを1番使い、企業社員はマネージメントが多い
- CAD操作だけはオペレーター、CADと設計ができる人が本来のエンジニアである
- 3Dが主流となっているが、未だ未知な領域があり成長に期待できる
- AIなど自動で作っても、判断するには人間である
- 就職や転職に役立つ資格は、3次元CAD・2次元CADの検定がある
機械設計は、CADだけでは成り立ちません。CAD以外にも設計能力などのスキルは必要です。
ここで1番お伝えしたいのは、CADだけのオペレーターではなく、CADをツールとして機械設計ができる
エンジニアを是非目指していただければと思います。ここまでご覧いただきありがとうございました。
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