クリーンな環境や耐熱、耐薬品性に優れたフッ素樹脂チューブ。
医療や化学、半導体などの幅広い分野で使用されています。
その中で、PFAチューブは、数多くのメーカーが販売しているため、
PFAチューブの選定に苦労していませんか?
そこで、著者の設計経験からPFAチューブの主要メーカを厳選し、
トップメーカー5選と設計ガイドとしてまとめました。
設計の参考として活用いただければ幸いです。
1. PFAチューブのトップメーカー5選はこれだ
PFAチューブは、医療、食品、科学、半導体などクリーンな環境が必要な業界で
幅広く使われており、数多くのメーカーが取り扱っています。
その中で、特にチューブの強みがあってインターネットでも購入でき、且つ、
実際の設計で使用頻度が多かったメーカーを5つ厳選してご紹介します。
1-1. SMC株式会社
空圧機器メーカーとして有名な企業です。
豊富にある空圧知識の強みを活かし、ガスや水などの流体を扱える
PFAチューブを販売しています。
製品としては、次の種類があります。
- TL/TIL series(材質:Super PFA)
- TLM/TILM series(材質:PFA)
このチューブに適合する継手も数多くラインナップがあるので、
継手も合わせて選定できるのがメリットです。
1-2. ニチアス株式会社
工業部品や自動車部品、フッ素材やゴム材など、産業分野で使う部品を
幅広く取り扱う企業です。特にPFAチューブでは、フッ素樹脂の特徴を活かした
独自のチューブを開発しています。
製品としては、次の種類があります。
- No.9003/PFA series
- No.9003/PFA-HG series
- No.9003/PFA-SG series
- No.9003/PFA-NE series
- No.9003/PFA-AS series
従来のPFA特性に合わせ、平滑性、フッ素イオンの溶出、薬液の透過量、導電性など
機能に合わせたPFAチューブのラインナップが豊富なのがメリットです。
1-3. 淀川ヒューテック株式会社
フッ素樹脂を軸とした半導体、液晶業界に強みのあるソリューション企業です。
メインである半導体業界で要求される製品を提案できる高い技術力があるため、
PFAチューブとしても信頼度が高いです。
製品としては、次の種類があります。
- PFAチューブ7000
- PFAチューブ7200
- PFAチューブ7300
半導体業界に対応できる豊富なグレードがあるのがメリットです。
1-4. ニッタ株式会社
産業機械や建築、半導体から医療、ヘルスケアまで幅広い分野に強い企業です。
クリーンな環境に対応する配管用としてチューブのラインナップが豊富であり。
PFAチューブもその一部にあります。
製品としては、次の種類があります。
- TAチューブ (PFA)
チューブのラインナップは少ないですが、適用する継手が多くあり、
チューブと継手の両方を選定しやすいのがメリットです。
1-5. 日本ピラー工業株式会社
パッキンやガスケット、メカニカルシールが得意な総合シール企業です。
得意なシール技術を活かして、フッ素樹脂製品の研究や開発もされています。
PFAチューブもその一部になります。
製品としては、次の種類があります。
- スーパークリーンPFAチューブ
チューブの他に、バルブ、継手、ポンプなど幅広く展開しており、
安全でクリーン度の要求が高い環境に対してメリットがあります。
2. PFAチューブのサイズ一覧(メーカー別抜粋)
各メーカーのPFAチューブカタログを見ると膨大な種類と量があります。
ここから、該当品を探すには一苦労しますよね。
そこで、トップメーカー5選のカタログより、一部抜粋したサイズ一覧表として
をまとめました。
PFAチューブの選定に活用していただければ幸いです!
メーカー | SMC | ニチアス | 淀川ヒューテック | ニッタ | 日本ピラー工業 | |||||||||
代表製品 | TLM/TILM series | No.9003/PFA series | PFAチューブ7000 | TAチューブ | スーパークリーン PFAチューブ | |||||||||
サイズ | 呼称 | 外 | 内 | 肉厚 | 最小 曲げ 半径 | 最高 使用 圧力 | 最小 曲げ 半径 | 最高 使用 圧力 | 最小 曲げ 半径 | 最高 使用 圧力 | 最小 曲げ 半径 | 最高 使用 圧力 | 最小 曲げ 半径 | 最高 使用 圧力 |
mm | mm | mm | mm | MPa | mm | MPa | mm | MPa | mm | MPa | mm | MPa | ||
ミリ | 3×2 | 3 | 2 | 0.5 | 20 | ※1 1.5 | 15 | 5.7 | ※2 | ※2 | 20 | 1.5 | ※2 | 0.7 |
4×3 | 4 | 3 | 0.5 | 35 | ※1 1.0 | 25 | 4.1 | ※2 | ※2 | 30 | 0.9 | 25 | 0.7 | |
6×4 | 6 | 4 | 1.0 | 35 | ※1 1.5 | 25 | 5.7 | 35 | ※1 0.98 | 30 | 1.6 | 30 | 0.7 | |
8×6 | 8 | 6 | 1.0 | 60 | ※1 1.0 | 45 | 4.1 | 55 | ※1 0.69 | 50 | 1.1 | 30 | 0.7 | |
10×8 | 10 | 8 | 1.0 | 100 | ※1 0.7 | 70 | 3.2 | 85 | ※1 0.49 | 70 | 0.8 | 50 | 0.7 | |
12×10 | 12 | 10 | 1.0 | 130 | ※1 0.6 | 95 | 2.7 | 105 | ※1 0.39 | 100 | 0.7 | 70 | 0.7 | |
インチ1 | 1/4 | 6.35 | 3.96 | 1.20 | – | – | 25 | 6.5 | – | – | 45 | 1.7 | – | – |
3/8 | 9.53 | 6.35 | 1.59 | – | – | 35 | 5.7 | – | – | 60 | 1.5 | – | – | |
1/2 | 12.7 | 9.53 | 1.59 | – | – | – | – | – | – | 90 | 1.1 | – | – | |
3/4 | 19.1 | 15.9 | 1.60 | – | – | – | – | – | – | 400 | 0.6 | – | – | |
インチ2 | 1/4 | 6.35 | 3.95 | 1.20 | 35 | ※1 1.7 | – | – | 30 | ※1 1.59 | – | – | 30 | 0.7 |
3/8 | 9.53 | 6.33 | 1.60 | 60 | ※1 1.5 | – | – | 60 | ※1 1.33 | – | – | 35 | 0.7 | |
1/2 | 12.7 | 9.50 | 1.60 | 95 | ※1 1.0 | – | – | 95 | ※1 0.88 | – | – | ※3 | 0.7 | |
3/4 | 19.0 | 15.8 | 1.60 | – | – | – | – | 235 | ※1 0.53 | – | – | ※3 | 0.7 | |
インチ3 | 1/2 | 12.7 | 9.52 | 1.59 | – | – | 75 | 4.1 | – | – | – | – | – | – |
3/4 | 19.05 | 15.85 | 1.60 | – | – | – | – | – | – | – | – | – | – | |
3/4 | 19.05 | 15.88 | 1.59 | – | – | 185 | 2.6 | – | – | – | – | – | – |
※1 温度によって使用できる圧力は変わります。詳細は各メーカーカタログを参照ください。
※2 該当するサイズはありませんが、近似するサイズは存在します。詳細は各メーカーカタログを参照ください。
※3 公開する曲げ半径情報がないため、各メーカへ問い合わせください。
3. PFAチューブの設計ガイド(特性・加工)
PFAチューブを使った設計では、機械的特性や加工を考慮しながら、
設計する必要があります。
ここでは、PFAチューブの設計ガイドとして特性や加工などをまとめます。
3-1. PFAの機械的特性
PFAは、フッ素樹脂のPTFEから、製造性を良くするために開発された材質です。
PTFEの特性をそのまま受け継ぎつつ、溶融成形が良くなっている材質であるため、
PTFEの機械的特性に近似します。
PFAの特性は以下の表にまとめます。
特 性 | 単 位 | PFA |
融点 | ℃ | 310 |
密度 | g/㎤ | 2.12-2.17 |
引張強さ | MPa | 25-35 |
伸び | % | 300-350 |
曲げ弾性率 | GPa | 0.54-0.64 |
引張弾性率 | GPa | 0.31-0.35 |
動摩擦係数 | [0.69Mpa,3m/min] | 0.2 |
熱伝導率 | w/m・K | 0.19 |
最高使用温度 | ℃ | 260 |
(詳細は右リンク参照:PFAとは?)
3-2. チューブの最小曲げ半径
チューブを曲げ加工するときは、最小曲げ半径に注意しなくてはなりません。
その半径は次の半径を指します。
実際の設計では、両方の半径指示を使うことがあるため、チューブメーカーや加工メーカーに
適正な半径指示を確認してから適用しましょう。
なお、最小曲げ半径は、前項でまとめたPFAチューブのメーカ別サイズ一覧より確認できます。
3-3. チューブの溶接
チューブを穴の空いたブロックなどに繋げたいときは、溶接棒を使って溶接します。
基本的にチューブがPFAならば、溶接する相手と溶接棒もPFAが望ましいですが、
加工メーカーによっては、異種材も溶接できる場合があります。
設計する製品に合わせて、溶接内容を相談しましょう。
4. PFAチューブが購入できるオンラインショップ
PFAチューブは、いろんなオンラインショップから購入できます。
ただし、取り扱うメーカーがショップによって異なり、購入できないことも
しばしばあります。
そこで、厳選したトップメーカー5選が購入できるオンラインショップをご紹介します。
4-1. AXELショップ
研究用品や医療用品、化学機器を販売するアズワンが運営するオンラインショップです。
日本ピラー工業以外のメーカーが購入できます。
4-2. モノタロウ
CMでお馴染み、現場の味方で有名なモノタロウが運営するオンラインショップです。
他のショップに取り扱いが少ない日本ピラー工業のチューブが購入できます。
ただし、SMCやニチアス、ニッタのチューブの取り扱いがありません。
最後に
ここまで、PFAチューブに特化して、トップメーカー5選と設計ガイドをまとめてみました。
本内容から、皆様の設計作業にお役に立てたら光栄です。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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