機械設計では、計算する場面が多く、第3者に伝える共有手段としてエクセルを使った計算を
多くのエンジニアが活用しています。
しかし、せっかくエクセルで作った計算表が見にくかったりするとうまく伝達できず、
結局説明する会議や問い合わせ対応する時間が増えてしまい、非効率な状況に悩んでいるエンジニアも
多いのではないでしょうか?
そんなエンジニアのために、機械設計の計算をエクセルで効率アップできる方法を設計現場のプロが伝授します!
なぜ計算をエクセルでやると効率アップするのか?
実業務で計算するときは、電卓が思いつくと思いますが、電卓だとデメリットが多く、かなり非効率的のため、
エクセルで計算するエンジニアは多いです。エクセルで計算するメリットは大きく2つあります。
メリット1:電卓より修正効率が良い
電卓では計算の後戻りが難しく、計算値が違っていたりすると何が間違っていたのかが追えず、
最初からやり直しということが多いです。
その分、エクセルでは表計算ができるので間違っていても発見しやすいです。
メリット2:計算値(設計値)の共有できるり修正効率が良い
電卓は完全に記憶ができないです。
それをエクセルにすることで、計算式と答えをデータ保存でき、瞬時に伝えることができます。
上記メリットから、エクセルを使って計算するのが効率が良いことがわかりますよね。
しかし、エクセルを使っているにも関わらず非効率になってしまう現場が多いです。
その原因は、作り方と共有方法です。
メカエンジニアというのは昔ながら職人気質の人が多く、見て覚えろ・感じろといった風潮が未だにあり、
その人にしかわからないデザインだったり、技術を共有しなかったりします。
それって本当!?と思うかもしれませんが、今まで経験した全ての企業にそういうエンジニアはいました。
それでは、エクセルを使っても非効率的になってしまいますよね。
そうならない為にも、効率アップできるデザインと共有方法を学んで活用していきましょう!
相手に伝わるエクセルデザインの作り方
デザインと聞くとセンスが必要なんじゃないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
ベースとルールを決めてしまえば、どんなエンジニアでも簡単に作ることができます。
そのベースとルールを決めるポイントがありますので、それらを解説していきます。
色を使い分ける
色を使うルールとコントラストをつけることで、相手に伝わる計算表が実現できます。
例えば、次のルールがある場合とルールがない場合を見てみましょう。
ルールが無い場合
ルールがある場合
<ルール>
黄色:手入力セル
緑色:項目セル
赤色:重要文字
いかがでしょうか?ルールがある方が見栄えが良く、計算表の意図も伝わるのでは無いでしょうか。こうように色分けを決めることで、どんな計算表で何に着目すべきかが明確にであることがわかります。
フォントを揃える
フォントの種類やサイズを揃えることで、相手の情報を正確に伝えることができます。
揃っていないと、誤認するような余計な情報を与えてしまい、正確に伝えられなくなります。
フォントが揃っていない場合
フォントが揃っている場合
図、写真を併用する
計算表を作ったら、必ず図や写真などを必ず入れましょう。
図などが無いと、どんな構造なのか、計算にどの寸法を使っているのかなど相手に伝わりません。
必ず入れるようにしましょう。
図がない場合
図がある場合
計算フローがわかる配置にする
計算には流れがあります。その流れが追いやすい配置にすることがベストです。
次の例を見てみましょう。
計算フローが見えない
計算フローが見える
表の置き方で流れが掴み安くなるのがわかりますね。
このように全体の計算フローがわかりやすい配置にすることで相手に情報を伝達しやすくなります。
エクセル計算の共有方法
データを共有する方法としていくつか存在しますが、職場のセキュリティやサーバーの有無など、
いろんな環境に応じてやり方は変わります。ではどんな方法があるのかを解説します。
サーバーで共有する
1つは、サーバーを使った共有方法があります。
パソコンで作ったエクセルデータをサーバーにドラッグするだけでデータが保管され、
ネットワーク内で共有ができるようになります。ただし、サーバーは設置する場所や
維持費がかかる為、メーカや設計会社などの企業で働く場合に多い環境です。
クラウドで共有する
サーバーを設置する場所がない・維持費を安くしたいなどはクラウドが便利です。
作成したデータをクラウド上にアップロードし、共有したい相手にメール送信します。
そうすることでデータを閲覧できるようになります。
ただし、アカウント作成が必要になりますので、登録してから使いましょう。
スプレッドシートで共有する
Googleスプレッドシートは、表計算が使えてクラウドのように共有もできる優れたツールです。
共有コマンドから共有したい相手や公開URLを作成することで共有できるようになります。
ただし、Googleアカウントが必要になりますので、アカウント登録をしましょう。
良く使う関数式
機械設計のエクセル計算でよく使う計算式があります。
それらを一覧にまとめておきますので、参考にしてみてください。
計算 | 記号 | エクセル計算例 | 備考 |
---|---|---|---|
掛け算 | * | =12*10 | |
割り算 | / | =12/10 | |
引き算 | – | =12-10 | |
足し算 | + | =12+10 | |
二乗 | ^2 | =12^2 | |
ルート(√) | SQRT | =SQRT(⚫︎) | ⚫︎はセル番号 |
ミニマム | MIN | =MIN(⚫︎) | ⚫︎はセル番号 |
マックス | MAX | =MAX(⚫︎) | ⚫︎はセル番号 |
アベレージ | AVERAGE | =AVERAGE(⚫︎) | ⚫︎はセル番号 |
合計 | SUM | =SUM(⚫︎) | ⚫︎はセル番号 |
エクセル不要?!おすすめ計算サイト
わざわざエクセルで計算を作らなくても、実は計算サイトで補えてしまうサイトがあります。
職場の設計基準に反しなければ、計算効率を上げたいツールとして活用できます。
著者が今までの経験の中で、特に役立ったおすすめ計算サイトをご紹介します!
なお、これらの計算はあくまで参考値となるため、ご自身の判断と責任で活用しましょう。
おすすめサイト①:生活や実務に役立つ計算サイト
カシオ計算株式会社が運営する計算サイトです。
設計に役立つ計算以外にも、生活に役立つ計算や専門的な計算まで幅広く対応しています。
さすが大手の情報サイトですね。
特に数学公式と物理公式は、設計でよく使うので活用してみてはどうでしょうか?
おすすめサイト②:製品設計知識
田口技術事務所が運営する製品設計のサイトです。
今までの製品開発とコンサルタントの経験から、機械設計向けの技術計算ツールを掲載してます。
特に強度計算に活用できる計算ツールが多いので、機械設計でよく使うはりやねじれの強度計算には、
かなり重宝するものになるのではないでしょうか。
計算ツールは、コンテンツ→設計者のための技術計算ツールへアクセスすれば使えます。
おすすめサイト③:ものづくりWEB
株式会社REが運営するWEBサイトです。機械設計の基礎になる情報が閲覧できます。
本サイトには、機械設計で使える単位換算、油圧・空圧のシリンダ推力、梁のたわみや座屈などの
計算ツールが掲載されています。
特にシリンダ推力は、配管設計する業界には重宝するツールでは無いでしょうか?
計算ツールは、トップページから公式・便利ツールをクリックすれば辿り着けます。
まとめ
機械設計の計算をエクセルで効率アップできる方法を設計現場のプロが伝授しました。
相手に伝わりやすい表計算を作ってそれを共有することが、効率アップの鍵となることがわかりましたね。
ここまでの内容をまとめると以下となります。
- エクセルで計算すれば、電卓より修正効率が良く、計算値を共有できる
- エクセルを使っているにも関わらず非効率になってしまう現場が多い
- 相手に伝わるエクセルデザインの作り方がある
- データを共有する方法は、環境に応じてやり方が変わる
- 機械設計のエクセル計算でよく使う計算式がある
- 実は計算サイトで補えてしまうサイトがある
せっかく作ったものを共有せず非効率に設計をする現場は未だにあります。
本ブログを通してそのような環境が1つでも無くなり、共有されて効率アップすることを望みます。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
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