【設計者必見!】機械加工メーカーが喜ぶ切削部品の設計ポイント

設計技術
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樹脂や金属の材料から削って作り出す切削部品。
CADで設計した切削部品を機械加工メーカーに製作してもらうのが主流だと思いますが、そんな機械加工メーカーを泣かせるような機械設計していませんか?

著者である私は、機械設計エンジニアとして15年以上の経験から、機械加工メーカーが喜ぶ切削部品の設計には、いくつかの重要なポイントがあることが発見しました。

本記事では、機械加工メーカーが喜ぶ重要ポイントやどのようなメリットがあるのかをワンポイントアドバイスを交えながら解説します。

機械設計エンジニア、特に切削加工部品設計エンジニアの方にとって、この記事が参考になれば幸いです。

ご注意

本記事内容は、経験則からまとめたものであり、必ず保証できるものではありません
実際の設計現場では、ご自身の責任と判断で活用ください。

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1. そもそも機械加工メーカーが喜ぶ切削部品の設計とは?

そもそも機械加工メーカーが喜ぶ設計とはなんでしょうか?
実際の機械加工メーカーに話を聞くと良く言われることが2つありました。

・機械で加工がスムーズにできること
・設備や工具が壊れないこと

当たり前のことでは?と思うかもしれませんが、これが加工現場の本音です。

機械で加工がスムーズに出来ないと他の発注部品も加工も手がつけられません。設備や工具が壊れるような加工だと一から加工やり直しになったり、高価なものを使う羽目になり、顧客により良いコストパフォーマンスを提供できなくなります。

つまり、現場の加工生産性に影響が出るというわけです
これでは、機械加工メーカーとしての価値は出せませんよね。

そうさせないためにやるのが機械設計です。そういう設計ができれば、製品価値も向上するはずです。
さて、そうするにはどんなことに注意して設計すれば、機械加工メーカーが喜ぶのでしょうか?

2. 切削加工の基礎を身につけよう

機械加工メーカーを喜ばせるために、切削加工の基礎を身につける必要があります。
次に挙げる3つの基礎をしっかり身につけておきましょう。

基礎1. 加工分類

そもそも加工という分類には、成型や溶接、表面処理など数多くの分類があります。
その中に切削加工として分類されています。

基礎2. 加工機

切削する加工機は、加工方法によって種類が異なります。
大きく分けると次の3つに分類されていることを覚えておきましょう。

旋盤系

被削材を回転させ、切刃を押しながら表面を削る工作機械です。主に丸棒形状の素材を切削加工に向いてます。

マシニングセンタ系

被削材を固定させ、回転する切刃で表面を削る工作機械です。フライス加工と同様のことができますので、主に板形状の素材を切削加工に向いてます。

複合系

旋盤系、マシニング系の両方の機能を持つ工作機械です。丸棒から板状まで切削加工ができ、更に複雑な形状でも切削加工を得意とします。

基礎3. 加工領域

切削による加工領域には、ある表面粗さを境目に研削、切削に領域範囲が別れます。
一般的に、平均粗さRa1.6とRa0.8の間を境目に、切削加工向きな領域と切削加工に不向きな領域に分かれます。

3. 機械加工メーカーが喜ぶ切削部品の設計ポイント

いよいよここから、機械加工メーカーが喜ぶ切削部品の設計ポイントをご紹介します。
紹介する設計ポイントは、どのメーカーにも喜ばれる重要な内容です。是非活用してみましょう。

3-1. 加工性を考慮した形状

いくら機械加工できるとはいえ、最低限の加工条件があります。
加工性を考慮して形状設計することで、困惑させずスムーズに加工作業を進めることができます。
その加工性について次のポイントを抑えておくと良いでしょう

角は必ずRにする

工具の先端には必ずRがついています。それを考慮した形状にすると良いでしょう。
また、エンドミルの場合、工具が回転しながら切削するので、角Rをエンドミル径の半径分以上にしておくと良いでしょう。

深くしない

深すぎると工具が届かず切削加工ができません。可能な限り浅くすることを推奨します。
ロングタイプはありますが、特殊工具と思っておく方が良いでしょう。

長すぎない

切削する時は、材料に大きな負荷が加わるため、長すぎると加工性が悪化してしまいます。
長すぎず剛性のある形状を考えておくと良いでしょう。

薄くしない

薄すぎると、変形したり破れたりして形状維持ができなくなります。
必要な肉厚を確保しておきましょう。

アンダーにしない

切削加工は工具が入るところしか加工できません。
アンダー(影になる)は、工具が入らない部位となるため、工具が届く形状に設計しましょう。

公差を厳しくしない

機械加工でもできる精度に限界があります。
形状にもよりますが、変形しやすいものに公差を必要以上に厳しくしても難加工となります。
できるだけ公差を緩和する方向に設計しましょう

3-2. 無駄な加工を減らす

無駄を多く減らすことができれば、作業効率がよくなるので加工メーカーは必ず喜びます。
主に次のことに着目すれば無駄を減らすことができるので、活用しましょう。

段取り

段取りは増えれば増えるほど作業工程が増えていきます。
例えば、多面体のブロックに穴あけ加工したい時、上面と側面に穴があると面を変える工程が増えます。
そのような段取り増えない設計を心がけましょう。

材料で無駄を減らす

引用元:滑川軽銅株式会社 アルミニウムハイプレート

すでに出来上がってる材料を使うというのもメリットがあります。
板状に平面度の加工したい設計があるとしたら、平面度がすでに出ている材料を選べば、その分の加工は省けます。
世の中にはいろんな材料があるので上手く活用しましょう。

購入品を選ぶ

上手く既製品を使うことで効率はあがあります。
例えば、ねじを使いたいとなったら、わざわざ加工してもらうより買った方が早いですよね?
そのようにできる限り購入で成り立つのであれば、購入品で代用することをオススメします。

3-3. 図面

加工メーカーで部品を加工する情報源は図面です。
図面が全てのため、全体が分かりにくかったり、不要な寸法が多いとその分工数がかさみます。
全体が見やすく、無駄な寸法を極力入れないようにしましょう。
また、特に注意したいことは、注記などで注意喚起としてアピールするようにしましょう。

4. 更に喜ばれるためのワンポイントアドバイス

喜ばれるポイントは分かりましたが、更に喜んでもらえる重要ポイントがあります。
長年の経験からそのポイントをアドバイスします!

材料は変形している

加工前の材料は、実は変形(歪み)していることが多いです。
材料は、生産する工程や熱収縮によって歪みますので、避けて通れません。
板材を平坦な部品として使いたいとなれば、変形分を無くすように面加工するのが必須となります。
変形している(歪んでいる)ということを知っている前提で設計すれば間違いなしです。

図面のスペースはメモ書きされる

機械加工メーカーでは、段取りや注意事項を確認しながら必ず図面にメモ書きします。
そのメモは空いてるスペースで書かれるため、程よいスペースがある作業に役立ちます。
是非、作図の時はスペースに意識してみましょう!

独自の工具や治具を使っている

加工には、流通している工具を使うのが一般的ですが、それでも加工が通用しない場合があります。
そういう時は、独自に工具や治具を作って成立させています。加工のプロフェッショナルを感じますね。
つまり、難加工になればなるほど、独自の工具や治具を作る手間が増えるということです。
それを考慮して設計すれば、おのずと機械加工に優しい設計ができるはずです。

5. どうしても喜ばれない加工が必要なときは?

形状設計するとどうしても難しい加工になることがあります。むしろ、そういうシーンが多いのではないでしょうか。そんな時どういう行動が望ましいかをアドバイスします。

 コミュニケーションをとる

まずは相談しましょう。
設計意図をしっかり伝え、できることとできないことを明確に伝達すれば、加工メーカー側は必ず答えてくれます
しっかりコミュニケーションを取ることで円滑な取引ができるでしょう。

 QCDを考える

コスト、品質、デリバリーのバランスを考えましょう。
難しい加工だけど安くしてよと言っても、それはただの無謀な要求です。
高くなっても良いから難加工をやってほしい、簡素化したから納期を短縮してほしいなど、トレードオフを意識して設計しましょう。

 トライアルやってみる

加工ができるだろうか?そんな悩みが出たら試作してみることもオススメです。
試作をすることでいろんなことがわかるため、加工技術のノウハウを蓄積できるため、お互いにメリットがあります。
お金をかけてでもトライアルしてみたいなどあれば、積極的に試作を活用してみましょう。

まとめ

ここまで、機械加工メーカーが喜ぶ重要ポイントやどのようなメリットがあるのかを解説しました。

本記事によって機械加工と機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
以下のリンクより、お気軽にご相談ください。

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