メートルねじ(Mねじ)は、JIS規格として定められていますが、実際に使う
設計ポイントがまとまったものがないため、情報を探す手間が掛かりますよね。
そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使う項目に抜粋して、メートルねじ(並目)の設計ガイドとしてまとめました。
設計の参考として活用いただければ幸いです。
1.メートルねじ(並目) 規格編
メートルねじ(並目)は、メートル法の単位でデザインされたねじです。
ISOの国際規格にも採用されていて、世界で幅広く使われているねじ規格です。
そんなメートルねじ(並目)の規格の中で、機械設計でよく使われる内容を以下にまとめます。
1-1.JIS規格
メートルねじ(並目)は、「JIS B0205-2001」にて定められています。
その内容は、以下のリンクから確認することができます。
日本規格産業規格:JISB0205-1:2001 一般用メートルねじ-第1部:基準山形
日本規格産業規格:JISB0205-2:2001 一般用メートルねじ-第2部:全体系
日本規格産業規格:JISB0205-3:2001 一般用メートルねじ-第3部:ねじ部品用に選択したサイズ
日本規格産業規格:JISB0205-4:2001 一般用メートルねじ-第4部:基準寸法
1-2.設計でよく使う項目
前述のJIS規格から、機械設計でよく使うメートルねじ項目があります。
抜粋すると、次のようになります。
2.メートルねじ(並目) 加工編
メートルねじ(並目)を加工する場合は、手動や機械を使って加工します。
それに合わせて使う工具があり、それぞれの特徴があります。
その中で、機械設計でよく使う加工ポイントとして以下にまとめます。
2-1.加工方法
よく使われるメートルねじ(並目)の加工方法は、次の2種類があります。
ストレート加工(機械加工、ハンド加工)
タップを回転させながら、ストレートにワークへ入れ込んで加工。
機械加工、ハンド加工ともに適用できます。青矢印が軸方向。赤矢印が工具回転方向。
ヘリカル加工(機械加工)
工具の回転と公転しながら加工する方法。2軸以上の複雑な動きとなるため、
NC制御できる機械が必要。青矢印が公転方向。赤矢印が工具回転方向。
※引用元:株式会社彌満和製作所カタログ:MC-CSLC超硬MC-ヘリカルカッタ メートルねじ用
2-2.タップ加工を考慮した設計ポイント
メートルねじ(並目)を取り入れる時の設計ポイントを以下にまとめます。
メートルねじの深さ
ねじの深さはタップによって決まります。
下図の①〜③でタップの長さが決まっており、ねじとして有効になるℓはねじサイズの2倍しか残りません。
よって、ねじの深さは次の設計ポイントを考慮する必要があります。
・メートルねじの深さは、ねじサイズの2倍までを目安とする
・メートルねじの深さを長くしたい場合は、2-1.加工方法に記載のヘリカル加工を利用する
メートルねじの下穴深さ
メートルねじの下穴深さはタップの長さがによって決まります。
下図のようにタップが入り込むので、ドリルで加工した下穴に干渉してしまうため、
①〜⑤を考慮した下穴深さにしなくてはなりません。
つまり、タップを避けられるマージンを考慮した深さℓを決める必要があります。
よって、下穴深さは次の設計ポイントを考慮する必要があります。
・タップを避けられるマージン深さは、4山(ピッチ×4)以上を確保する
3.メートルねじ(並目) 図示編
メートルねじ(並目)を加工してもらうためには、図面指示する必要があります。
機械設計でよく使う製図事例を以下にまとめます。
3-1.メートルねじ(並目)の図面指示
代表的な図示例は次のようになります。
基本的に最新のJISに従い、記号を使った深さ表記が一般的ですが、
一部では、記号を使わない旧JISに従ったねじ深さで表記する場合もあります。
3-2.メートルねじ(並目)の下穴径
下穴径は、ねじサイズとピッチを引いた値が下穴径となるのが一般的です。
下記の表を参考にしましょう。
最後に
ここまで、実用的に使えるメートルねじ(並目)を設計ガイドとしてまとめました。
本記事によって機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
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