ヘリサート(Eサートとも言われる)は、めねじのJIS規格が適用されますが、実際に使う設計ポイントがまとまったものがないため、情報を探す手間が掛かりますよね。
そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使う項目に抜粋して、ヘリサートの設計ガイドとしてまとめました。
設計の参考として活用いただければ幸いです。
1. ヘリサートの便利な使い方
ヘリサートは、めねじの母材が弱かったり、めねじが破損したりなど、機械設計における問題や課題を解決してくれる優秀なインサート部品です。そんな優秀なヘリサートはこんな便利な使い方ができます。
いかがでしょうか?
特にアルミ材、樹脂材は機械的強度が弱い傾向にあるので重宝するのではないでしょうか?重宝するインサートを使いたい時は、加工や図面指示などをちゃんと理解して設計で使いたいですよね。ここからは、ヘリサートに必要な加工、図面指示、そして設計ポイントを解説します。
2. ヘリサートに必要な加工
ヘリサートで必要な加工は、大きく分けて次の3つです
- 下穴加工
- タップ加工
- ヘリサート挿入
※タップ&ドリル画像 引用元:OSGインサートタップ、OSGドリル
下穴とタップはメートルねじと同じ加工方法で加工し、その後ヘリサートを工具を使って挿入します。下穴とタップは、ヘリサート特有のサイズを使って加工しますので、図面指示にも、ヘリサート特有のサイズで表現する必要があります。サイズは、次の図面指示で一覧表としてまとめておきますので、参考にしましょう。
3. ヘリサートの図面指示
ヘリサートの図面指示は、メートルねじと似ていますが、少し特有の指示方法になります。ヘリサートに必要な図面指示は、次の3つです。
これをポイントとして図面指示してあげると良いでしょう。以下に事例として上げておきますので参考にしみてください。
ヘリサートを表現するための下穴径、ヘリサートの外径・内径は以下の一覧表を参考にしましょう。
4. ヘリサートの設計ポイント
ヘリサートの使い方、加工、図面指示がわかれば大丈夫!なんてことはありません。ヘリサートにはヘリサートの設計ポイントがあります。その設計ポイントを解説します。
設計ポイント1 ヘリサートの長さに注意!
ヘリサートの長さは、ねじ径に対して倍数の長さで扱われていて、その長さは3つに分類されています。
ということは、挿入部の厚み以上のヘリサート長さにするとはみ出ることになります。そうならないように、挿入部の厚みとヘリサートの長さを決めましょう。
設計ポイント2 ヘリサートの挿入方向に注意!
ヘリサートの場所によって方向に注意が必要です。厚み以下のヘリサート長さの場合、片側に寄る方法となり、ねじかみ代不足に繋がってしまいます。そうならないように、方向の指示はしっかりと図面指示しておきましょう。
設計ポイント3 止まり下穴はマージンを見ておく
メートルねじ加工と同じく、止まりの下穴はマージンを見ておく必要があります。4山(4ピッチ)以上を確保すると良いです。
メートルねじ加工は、以下の設計ガイドに載せていますので、合わせて参考にしてみましょう。
設計ポイント4 1ピッチ分のかみ代はなくなる?!
ヘリサートを挿入すると、少し奥まったところまで挿入されます。これは、ヘリサート自体が穴から飛び出ないようにするためです。そのため、1ピッチ分は必ずかみ代がなくなってしまいます。設計する時は、1ピッチ分マージンを考慮しておきましょう。
設計ポイント5 ねじ穴とは違う組み立てが便利!
ねじ穴と違って、ヘリサートは特徴的な組み立てができます。大きく2つありますのでここで解説します。
ねじを通せる
ヘリサートには不完全ねじ部がありません。なので、ヘリサート内部は貫通状態となり、ねじを通して使えるのです。組立の設計においてうまく活用してみましょう。
両方からねじが通せる
ヘリサートには不完全ねじ部がないため、両方向からねじを入れられます。組立の設計においてうまく活用してみましょう。
5. 最後に
ここまで、実用的に使えるヘリサート(Eサート)の設計ガイドとしてまとめました。
本記事によって機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
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