実用的!ロードセルの選定ガイド【選定ポイント・計測・トラブル】

設計技術
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ロードセルで荷重制御できる装置を設計しよう!と思ったエンジニアの皆さん。いざやろうと思った時、ロードセルの情報が少なく、効率よく設計ができないと思い悩んでいませんか?

そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使う項目を抜粋して、ロードセルの選定ガイドとしてまとめました。

設計の参考として活用いただければ幸いです。

ご注意

本記載内容は、JISやメーカサイト、経験則からまとめたものであり、
実際の設計現場と一致するものではありませんので、ご自身の判断で活用ください。

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1. 選定するロードセルを知る

機械設計でロードセルを選定する時、ロードセルについて詳しく知る必要がありますね。ここでどんな構造なのか、種類はどんなものがあるかを解説します。

1-1. ロードセルの仕組み(原理)

ロードセルはひずみゲージというものが搭載しており、力が加わるとそのひずみゲージが歪んで電流が変化し電気信号として出力されます。その出力値こそが力として計測ができます。

1-2. ロードセルの種類

ロードセルには大きく分けて次の3種類があります。

  • 圧縮型(ボタン型)
  • ビーム型
  • S型

圧縮型は、圧縮方向に荷重を加えることで力を測定でき、ビーム型はせん断方向に荷重を加えれば力を測定できます。S型は、圧縮・引張の両方を計測できる優れものです。

1-3. ロードセルの表示器

ロードセルには必ず表示器が必要になります。表示器は、ロードセルから出力された電気信号を受け取って表示器の中で計算します。計算したものを荷重値として表示したり、他機器へのデジタル出力として活用されます。なので、ロードセルにはなくてはならない存在であることがわかりますね。

2. ロードセルの選定ポイント

ロードセルを理解できたら、いよいよ選定しましょう!と言いたいですが、ロードセルを選定するにはいくつか選定ポイントがあります。その選定ポイントを解説します。

選定ポイント1 ロードセル本体の取付け

ロードセルを取付けは、環境に合わせたサイズと固定方法を選ぶことが重要です。特に固定方法では、ロードセルの種類によって変わるので、取り付けたい装置に合わせて選定しましょう。以下はよくある固定方法の使用例です。参考にしてみましょう。

選定ポイント2 ロードセルスペック

ロードセルは、荷重を測定するセンサーであるため、計測できる範囲か、精度に影響ないかなどロードセルスペックを確認する必要があります。必要最低限の確認項目を下表に記載しますので、参考にしてみましょう。

No機能チェックポイント
1定格容量測定できる定格値を確認
2定格出力出力できる定格値を確認
3非直線性理想と出力の直線GAP量を確認
4ヒステリシス行き帰りのGAP量を確認
5繰り返し性回数間のGAP量を確認
6クリープ時間経過の影響を確認
7温度影響温度による出力影響を確認

選定ポイント3 表示器スペック

ロードセルと同じく、表示器のスペックの確認が必要です。使用温度の範囲や、取り込みたい出力信号、サンプリング周期など確認する項目は多いです。必要最低限の確認項目を下表に記載しますので、参考にしてみましょう。

No機能チェックポイント
1電源必要な電圧を確認
2使用温度範囲使う環境に合うか確認
3A/D変換仕様変換における特性を確認
4出力仕様出力できる種類を確認
5移動平均処理処理したい数があるか確認
6サンプリング周期周期が合うか確認

3. ロードセルの計測方法

ロードセルを搭載できたら、設定した荷重を計測することをお勧めします。特に装置設計エンジニアでは、荷重制御したり、荷重が狙った値になっているか確認することが多いので、計測方法は覚えておくと便利です。ここでは、よくあるロードセルの計測方法についてご紹介します。

3-1. PLCからロードセルの計測

ロードセルの表示器からA/D変換された信号を、PLC側が受け取りPLCが持つロギング機能を使って計測する方法です。この方法は、PLCが必要になるので、取り込む環境が必要となってしまいます。

3-2. ロガー機からロードセルの計測

こちらもPLC同様に、A/D変換された信号を受け取り計測する方法です。ただし、データロガー機は、信号を入力して計測する専用測定器のため、PLCより手軽に計測することができる計測方法です。

3-3. ひずみ計測器でロードセルの計測

基本的に表示器は、波形などを抽出することができないため、表示器の代わりにデータ抽出ができるひずみ計測器にロードセルを接続して計測する方法です。ロガー機と同様の計測方法ができますが、計測器を外すことになるため、計測器の表示があってるかが確認することができません。

4. ロードセルのトラブルシューティング

ロードセルを搭載して荷重制御ができると、トラブルに見舞われることがよくあります。ここでは、著者の設計経験から実際に起きたトラブルをご紹介します。

移動平均の設定には気をつけよう!

ロードセルの表示器では出力のノイズキャンセルできるよう移動平均処理ができる設定があります。その移動平均には、区画数という平均をとる区間があり、その数によって平均値が変わります。つまり、区間数によって出力される値が変化するため、荷重制御する機械においては、全く違う荷重で制御することになってしまいます。よって、移動平均の設定は必ず確認しておきましょう。

校正で狙い値を確認!

校正は、狙った荷重値に対して同じ傾向になっているか確認することができます。この校正がズレていると、狙い値と違った傾向になっていたら、制御したいこともできなくなります。そうならないように、校正を狙った荷重値になるよう合わせこみをしておきましょう。

サンプリング周期は明確に!

サンプリング周期とは、出力される周期のことを言います。つまり、周期が大きければ、荷重値が荒く、周期が小さければ、荷重値はリニアに近づきます。この周期設定によって計測値も変わり荷重制御にも影響します。なので、周期設定を適正値に合わせるようにしましょう。

5. 最後に

ここまで、実用的に使えるロードセルの選定ガイドとしてまとめました。
本記事によって機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
以下のリンクより、お気軽にご相談ください。

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