機械設計において皿ザグリは、JIS規格として定められていますが、実際に使う設計ポイントがまとまったものがないため、情報を探す手間が掛かりますよね。
そこで、著者のメカエンジニア経験から、よく使うねじサイズに抜粋して、皿ザグリ設計ガイドとしてまとめました。
設計の参考として活用いただければ幸いです。
1. 皿ザグリ(皿モミ)とは?
皿ザグリとは、穴を円錐形に加工して、ねじ頭を製品表面にぴったり収める加工方法です。皿穴・皿モミとも呼ばれます。この皿ザグリがあることで、次のようなメリットがあります。
・見た目がきれい:ねじやボルトの頭が平面に仕上がるため、見た目がすっきり
・安全:ねじやボルトの頭が飛び出していないため、引っかかる心配がなく、安全
皿ザグリは、皿状になったねじ・ボルトを使うことを目的とされますので、ねじが限定されることだけ注意しておきましょう。
2. 皿ザグリの加工
皿ザグリの加工は、マシニングなどのNC加工機を使った切削加工と、プレス機などを使ったプレス加工があります。その特徴を以下にまとめます。
切削加工(機械加工)
ドリルやザグリカッターなどの工具を使った加工方法です。この加工には、NC旋盤、マシニングセンター、ボール盤などの機械が利用されます。加工したいワークに対して垂直に加工する方法です。
工具引用元
OSG 超硬ドリル
OSG 超硬リーディングドリル
パンチング加工(板金加工)
パンチング加工は、金型を使って板材に穴を開けたりする加工方法です。プレス機で一気に加工するため、効率がよく、コストを抑えられます。ただし、加工の際にバリや反りが発生することがあります。
3. 皿ザグリ穴の寸法・規格
皿ザグリの規格はJISB1017:2008 皿頭ねじ用皿穴の形状で定められています。
この中でよく使うねじサイズの寸法をまとめておきますので、是非参考にしてみてください。
4. 皿ザグリ穴の図面指示
ザグリ穴の図示は、JISB0001:2019 機械製図で定められており、2019年に改訂されています。
しかし、現実として旧JISを使う加工メーカーも多く、旧JIS、新JISとして世の中に認知されているのが現状です。基本的に新JISに合わせて指示するとともに、加工メーカーに合わせた旧JISといったやり方で、臨機応変に図面指示すると良いでしょう。
5. 皿ザグリの設計ポイント
ただの皿ザグリとは言え、設計すると課題が見えてくるものです。そんな時、よくある設計ポイントを学習すれば、設計効率もよくなることでしょう。著者の経験から、よくある設計ポイントを3つ紹介します。
肉厚には気をつける
皿ザグリの肉厚は、製品の強度や耐久性を左右する重要な要素です。皿ザグリが浅すぎると、ねじが緩んだり、製品が破損する原因となります。設計段階から肉厚を考慮して検討しましょう。
飛び出し問題の解消
皿ザグリ加工しても、ねじが飛び出すことがあります。その原因として、皿ザグリの深さや角度が不足していたり、材料の特性が影響している可能性があります。ねじが飛び出すことで製品の見た目が悪くなり、耐久性や干渉などに影響するため、深ザグリ加工や面取り加工などの追加加工を行うことで、この問題を解決できます。
6. 最後に
ここまで、実用的な皿ザグリの設計ガイドとしてまとめました。
本記事によって機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
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