実務向け!機械設計で使える深溝玉軸受 選定方法【7ステップ完全攻略】

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設計技術
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深溝玉軸受(ボールベアリング)は、産業設備や装置系の機械設計で最も使用頻度が高い軸受形式です。電動機・ポンプ・コンベヤ・減速機・農業機械・工作機械補機……あらゆる回転部に使われています。
ただ、いざ選定すると・・・

  • 軸受、どれにすればいいんだろう…カタログを開いたら数字だらけで何が何やら」
  • 「先輩に聞いたら『とりあえず 6205 でいいよ』って言われたけど、根拠がよくわからない」
  • 「寿命計算って式は知っているけど、実際の設計でどう使えばいいのか…」

このように、機械設計の現場で軸受選定に迷うことはありませんか?

この記事では、JTEKT(Koyo)・NTN・NSK 三社の公式技術カタログをベースに、私が実務で実際に使っている7ステップの選定手順を余すことなく公開します。

参考資料・引用元

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はじめに (本記事の目的・使い方)

深溝玉軸受の選定は、本記事の7ステップを一度マスターしてしまえば、あとはカタログと電卓があればどんな機械にも応用できるようにまとめています。その練習として、計算例もそのまま真似できるように書いていますので、ぜひチェックしてみてください。

ご注意

本記載内容は、JISやメーカサイト、経験則からまとめたものであり、
実際の設計現場と一致するものではありませんので、ご自身の判断で活用ください。

深溝玉軸受とは?構造と仕組みを理解しよう

深溝玉軸受(英語:Deep Groove Ball Bearing)は、転がり軸受の中で最もよく使われている形式です。電動機・ポンプ・コンベヤ・減速機・農業機械・自動車など、あらゆる回転機械に採用されています。

構造はシンプルで4つの部品で成立します。

部品名役割素材(標準)
内輪(インナーリング)軸と一緒に回転し、ボールが転がる溝(軌道溝)を持つ高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
外輪(アウターリング)ハウジングに固定され、内輪と対をなす軌道溝を持つ高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
ボール(玉)内輪と外輪の間で転がり、荷重を伝える高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
保持器(リテーナ)ボールを等間隔に保ち、スムーズな転がりを実現鋼板・合成樹脂など

深溝玉軸受の3大特長

① ラジアル+アキシアル両対応

  • ラジアル荷重(軸に垂直な力)
  • アキシアル荷重(軸方向の力・両方向)
  • 合成荷重(上記の組み合わせ)も可能

② 高速・低騒音・低振動

  • 転がり摩擦係数が小さい(約0.001〜0.0015)
  • 高速回転でも安定して使える
  • 静粛性が必要な機器に最適

③ 豊富な寸法・形式

  • 内径1mm未満〜数百mmまで対応
  • 開放形・密封形など多彩なバリエーション
  • JIS・ISOで標準化=メーカー間互換

深溝玉軸受は「汎用ベアリングの王様」。まずこれで検討し、要件が合わない場合に他形式を検討するのが実務の基本手順です。

型番の読み方:6200・6300の数字の意味

深溝玉軸受の型番はJIS B 1513で規定されており、記号の意味を知ればカタログが読めます。

型番の構成例:6205 ZZ C3
 6 → 形式記号(6 = 単列深溝玉軸受)
 2 → 直径系列(外径の大きさを表す)
 05 → 内径番号(05 × 5 = 内径 25 mm)
 ZZ → 補助記号(両シールド付き)
 C3 → 内部すきま(普通より大きい C3 すきま)

直径系列(2桁目)の意味

系列記号呼称特徴代表型番
68超軽量系列同内径で最小外径。省スペース用途に6802
60軽量系列軽荷重・高速向き6002
62軽中量系列 最多使用最も汎用的。電動機・ポンプに6205
63中量系列同内径で62より大きい外径→高負荷能力6305
64重量系列重荷重・低速向き6405

内径番号の変換ルール

内径番号 04 〜 96 の場合は、内径 (mm) = 内径番号 × 5
 例:05 → 05 × 5 = 25 mm
 例:08 → 08 × 5 = 40 mm

内径番号 00 〜 03 は例外
 00 → 10 mm
 01 → 12 mm
 02 → 15 mm
 03 → 17 mm

オープン・シールド・シール型の違いと選び方

深溝玉軸受には密封形式のバリエーションがあります。実務では「どれを選ぶか」で悩むことが多いので、基準をまとめます。

種類詳細
開放形(オープン型)補助記号:なし(例:6205)
グリース:封入なし(別途充填)
防塵・防水:なし
回転速度:高速まで可
用途:定期グリース交換できる機械、油潤滑の機械
シールド形(シールド型)補助記号:ZZ(例:6205ZZ)
グリース:封入なし(金属板で覆うのみ)
防塵:中程度(非接触)
防水:弱い
用途:一般産業機械、電動機
シール形(シール型)補助記号:2RS(例:6205-2RS)
グリース:封入済み
防塵・防水:高い(ゴムシール接触)
メンテナンスフリー
用途:粉塵・水分がある環境、保守しにくい場所
実務ポイント

実際の現場で選定するポイントは以下の通り
 「グリースを補給できる設計か?」を確認する。
 定期メンテができるならオープン型で十分。
 できない・しにくい箇所は迷わず 2RS を選ぶ。
 ※シール型(2RS)の許容周速は標準ゴム(ニトリルゴム)で約15 m/s。
  高速スピンドルなどでシール型を使う場合は必ず許容周速を確認すること

実務向け!深溝玉軸受 選定 7ステップ手順

以下の手順は、JTEKT・NTN・NSK 三社のカタログを統合し、実務で使いやすいように再構成したオリジナル手順です。初心者でも計算の流れが追えるよう、平易な言葉でまとめています。

STEP1. 使用条件を4つ整理する

まず「軸受にかかる状況」を数字で書き出します。この4つが決まれば計算を始められます。

記号内容単位
Frラジアル荷重(軸に直角方向に作用する力)N
Faアキシアル荷重(軸方向に作用する力)N
n回転速度min⁻¹(rpm)
L10h必要寿命時間(表から目安を確認)h

STEP2. 深溝玉軸受で成立するか確認する

以下のすべてに「Yes」なら、深溝玉軸受で選定を続けられます。
一つでも「No」なら、他の形式(アンギュラ・ころ軸受など)を検討してください。

  • ラジアル荷重がメインで、アキシアル荷重は補助的?
  • 衝撃荷重や非常に重い荷重は作用しない?
  • 高速・低騒音・省スペースが求められる?
  • 固定側と自由側の両方で使いたい?

STEP3. 密封形式・系列を絞り込む

密封形式:前章の比較表を参考に、オープン/シールド(ZZ)/シール(2RS)を選択。

寸法系列:軸径が決まっている場合は内径番号が決まります。外径と幅は系列(62・63など)で変わります。まず 62系列 から検討し、基本動定格荷重が不足なら 63系列 に変更するのが実務の定石。

STEP4. 動等価荷重(P)を計算する

「軸受に実際にかかる仮想の荷重」です。アキシアル荷重がない場合は Fr がそのまま P になります。

アキシアル荷重がない(または小さい)場合 P = Fr
アキシアル荷重がある場合(Fa/Fr が e より大きいとき) P = X × Fr + Y × Fa
X, Y, e の値:カタログの軸受寸法表に記載
深溝玉軸受は Fa/Fr ≤ e なら X=1, Y=0 なので P = Fr

STEP5. 必要な基本動定格荷重(C)を計算する

カタログから適切な軸受を選ぶための「必要C値」を求めます。この C 値以上のものを選べばOKです。

基本寿命式(JIS B 1518、玉軸受)

C = P × ( L10h × 60 × n / 10⁶ ) ^(1/3)

変数の意味

C = 必要な基本動定格荷重 [N]
 P = 動等価荷重 [N](Step 4 で計算)
 L10h = 必要寿命時間 [h](Step 1 で決定)
 n = 回転速度 [min⁻¹]

指数 1/3 は「立方根」です。電卓の x^y ボタンで y = 0.333 と入力すれば求められます。

STEP6. カタログから型番を選定する

計算した C 値以上の 基本動定格荷重 Cr を持つ軸受を、カタログの寸法表から探します。

  • まず 62系列(例:6205, 6206…)を確認
  • Cr が不足なら 63系列(例:6305, 6306…)へ
  • それでも不足なら 64系列 or 複列を検討
  • 補助記号(密封形式・すきまなど)を付加して型番を確定

STEP7. はめあい・内部すきまを確認する

軸受を軸とハウジングに組み込む際の「締まり具合(はめあい)」と、軸受内部の遊び(内部すきま)を確認します。

部位一般的なはめあい公差クラス例
内輪 ↔ 軸(内輪回転荷重)しまりばめ(軸が太め)k5, m5, n6
外輪 ↔ ハウジング(外輪静止)すきまばめ or 中間ばめH7, JS7
すきま記号意味選定場面
C2普通より小さい精密・低振動用
CN(無記号)普通すきま一般用途(迷ったらこれ)
C3普通より大きい よく使う高温・しめしろ大・衝撃荷重
C4C3より大きい重衝撃・振動スクリーン

内輪をしまりばめにすると内部すきまが減少します。高温環境・大きなしめしろの場合は C3 以上を選ばないと運転すきまが過小になり焼付きの原因になります。

計算例でトレーニング:実際に選定してみよう

【設定条件】小形電動機の主軸用軸受選定

ラジアル荷重 Fr = 2,000 N
アキシアル荷重 Fa = 300 N(Fr の15%程度)
回転速度 n = 1,600 min⁻¹
必要寿命 L10h = 10,000 h(小形電動機の目安)
使用系列:62系列、内径 25mm 前後


① Fa/Fr を確認

Fa / Fr = 300 / 2,000 = 0.15 → 小さいので P = Fr で進めます。

② 動等価荷重

P = Fr = 2,000 N

③ 必要 C 値の計算

C = 2,000 × ( 10,000 × 60 × 1,600 / 1,000,000 ) ^(1/3) C = 2,000 × ( 960 ) ^(1/3) C = 2,000 × 9.865 C ≈ 19,730 N ≈ 19.7 kN

④ カタログから選定

62系列 内径 25mm(内径番号 05)→ 6205 を確認

JTEKTカタログ参照:6205 の Cr = 14.0 kN(不足)→ 6305 の Cr = 22.2 kN

または 6205 の上位:6206(内径 30mm)Cr = 19.5 kN(ほぼOK)→ 必要寿命を厳密に再計算して確認。

⑤ 最終型番

6305 2RS CN(メンテナンスフリー・普通すきま・内径25mm・63系列)

計算根拠:JTEKT 転がり軸受総合カタログ CAT. NO. BS004JA-2DS A46〜49ページ

アンギュラ玉軸受との使い分け

設計の現場でよく聞かれる「深溝玉軸受とアンギュラ玉軸受の違い」を整理します。

比較項目深溝玉軸受アンギュラ玉軸受
アキシアル荷重(一方向)○(ある程度)◎(高い)
アキシアル荷重(両方向)○(単体で可)△(2個対向が必要)
高速性能○(接触角が小さいほど有利)
剛性◎(予圧をかけることで非常に高い)
取り付けのしやすさ◎(シンプル)△(組み合わせ・予圧管理が必要)
コスト◎(安い)△(高い)
主な用途電動機・ポンプ・コンベヤ・一般産業機械工作機械主軸・高周波モータ・高速・高精度
実務ポイント

選び方の目安:アキシアル荷重がラジアル荷重の30%以下なら深溝玉軸受で問題なし。工作機械主軸のような「高精度+高剛性+大きいアキシアル荷重」が必要な場合にアンギュラ玉軸受を使います。

トラブル対策:異音・焼付き・早期剥離の原因と対策

正しく選定・組み付けた軸受でも、運転中にトラブルが起きることがあります。現場で起きやすい3つのトラブルを解説します。

① 異音(音の種類で原因を絞る)

音の特徴推定原因対策
リベット打ちのような周期音軌道面のきず・さび・圧こん洗浄改善・さび止め・軸受交換
ガリガリという連続音(かわず音)異物混入密封装置の改善・潤滑剤の交換
ゴロゴロという低い音はめあい不良・すきま過大はめあい見直し・予圧設定の検討
高温時・起動時のきしり音グリース不足・低温グリース補給・適正銘柄への変更

② 焼付き(軸受が熱くなって動かなくなる)

主な原因は「潤滑不良」「内部すきまの過小」「過大荷重」の三つです。焼付きが起きると軌道面が変色・変形・溶着し、軸受は再使用不可能になります。

焼付きのサインは温度の急上昇です。運転開始後1〜2時間で温度が定常状態にならず、さらに上昇し続ける場合は即座に停止して点検してください。

③ 早期剥離(フレーキング)

本来の設計寿命に達していないのに軌道面が「うろこ状にはがれる」現象。原因の多くは以下のいずれかです。

  • 内部すきまが過小(はめあいのしめしろが大きすぎ+高温)
  • アキシアル荷重の過大(自由側軸受の外輪をしまりばめにしていないか確認)
  • 取付不良(軸・ハウジングの芯出し不良)
  • 軌道面への異物混入(圧こん→剥離に進展)

最後に

ここまで、機械設計者が実務で使える板金溶接加工基準を解説してきました。
本記事によって機械設計の参考として活用して頂けたら幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

なお、AKLABO.学習帳では、機械設計のご相談も承っております。
以下のリンクより、お気軽にご相談ください。

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